
彫り師になるには?スクール・弟子入り・独学でタトゥーアーティストになる方法を徹底解説!
近年、若者を中心にファッションとしてタトゥーを入れる人が増え、それに伴い彫り師(タトゥーアーティスト)になりたい人も急増しています。
かつて、彫り師はグレーな職業とされていましたが、2020年の最高裁判決で「医師免許がなくても彫り師として活動できる」との判決が出てからは、世間の偏見も少しずつ緩和されてきました。
ですがそんな追い風の中で、未経験からプロの彫り師になりたいけど方法がわからない人も多いでしょう。
本記事では、彫り師になるための手順や必要なスキル、彫り師に向いている人の特徴などを解説していきます。
「自分にも彫り師になれるのか?」と悩んでいる方はぜひ最後まで読んでみてください!
彫り師(タトゥーアーティスト)のなり方
彫り師(タトゥーアーティスト)になるためには、大きく分けて「タトゥースクールで学ぶ」「師匠に弟子入りする」「独学で技術を習得する」の3つの方法があります。
また、彫り師として活動するためには、スタジオに所属してお客様に施術を行うか、自分でスタジオを構えて集客し施術を行う2パターンがあります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、自分の性格や適正・ライフスタイルに合った方法を選ぶことが大切です。
まずは共通して求められる必要なスキルと知識を押さえ、その上で各ルートの詳細を見ていきましょう。
彫り師になるために必要なスキルと知識
彫り師になるためにまず必要なスキルは、繊細な器用さと絵・デザインを描く力、コミュニケーション能力です。
タトゥーは、肌に直接インクを差し込むため、バランスよく細部まで細かいデザインを入れられる手の器用さが必須になります。
特にワンポイントタトゥーを入れる際は、髪の毛ほどの細さの線を描く必要があり、肌という不規則な場所に入れるので何度が非常に高いです。
また、お客様の体に直接針を入れる以上、衛生管理や安全性の知識も必須です。
器具の消毒方法や感染症予防策を正しく理解し実践できてこそ、安心して施術を任せてもらえます。
さらに、彫り師はお客様の要望を聞き取りデザインに落とし込む仕事のため、理想のデザイン完成にもコミュニケーション能力も重要です。
彫り師(タトゥーアーティスト)になるメリット
彫り師という職業には、大変さや難しさの裏側に大きな魅力も存在します。
ここでは、彫り師になることで得られるメリットを紹介していきます。
自分の感性や表現を仕事にできる
彫り師になる最大の魅力は、天性の芸術的センスや想像力・画力をそのまま仕事に活かせる点です。
自分の描いたデザインがそのまま人の肌に刻まれ、一生残るアートになるというのは他の職業にはない醍醐味です。
好きな絵を描くことがそのまま収入につながり、自分の世界観を作品として発信できるため、大きなやりがいを感じられます。
デザインの種類は無限大のため、新しいジャンルを生み出すこともできるでしょう!
高収入が期待できる
彫り師は実力次第で高収入も期待できる職業です。
駆け出しの頃は収入が不安定な場合もありますが、顧客がついてこれば年収1,000万円超えも夢ではないです。
また、彫り師として有名になれば、フラッシュ・グッズ販売やスクール講師活動など収入源を広げることもできます。
もちろん高収入を得るには地道な努力と時間が必要ですが、才能と努力がダイレクトに収入に反映されるため、彫り師は非常に夢のある仕事です。
他業種に比べて年功序列ではなく実力主義なので、若くして活躍すれば高収入を得られる可能性が高いです。
独立・フリーランスとして働ける
彫り師は、正社員として雇用される形態ではなく、フリーランスとして独立しやすい職業です。
個人スタジオを開設したり、副業として隙間時間のみ施術を行ったりと、働き方の自由度が高いことが魅力。
上司や会社の組織に縛られず、自分のペースで仕事ができるため、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能です。
最近では、SNSで自身の彫った作品やタトゥーに関する動画を上げることで、自分自身にファンをつけて集客している彫り師も多いです!
タトゥースクールに入学して彫り師になる方法
初心者が効率良く安全に技術を習得する方法として、タトゥースクールに通う方法があります。
タトゥースクールでは、プロの彫り師から直接学べることに加え、卒業後もスタジオの紹介サポートなども行ってもらえるので、独学に比べて短期間でデビューできます。
ここでは、スクールで彫り師になるまでの具体的なステップを見てみましょう。
STEP1. タトゥースクールを選ぶ
まずは、自分に合ったタトゥースクールを選ぶことから始めます。
タトゥースクールと一口に言っても、カリキュラム内容や期間、オンラインかオフラインか、費用、講師陣の経歴などは様々です。
タトゥースクールを選ぶ際には、料金体系が明確であるか、講師に実績があるのかどうかをきちんと判断してください。
また、可能であれば見学や説明会に参加し、スクールの雰囲気や衛生管理の体制、練習用の設備もチェックしてください。
自分が彫りたいデザイン(和彫り・洋彫りなど)を学べるカリキュラムがあるか、卒業生の進路実績はどうかなどもポイントです。
STEP2. 基礎知識と技術をスクールで徹底的に学ぶ
スクールに入学したら、タトゥーに関する基礎知識と彫る技術を徹底的に学びます。
多くのタトゥースクールでは、デザインの基礎からタトゥーマシンの使い方、衛生管理の方法、皮膚の構造や色素の知識まで幅広く教えてくれます。
現役のプロ彫り師から直接指導を受けられるため、独学では得にくい正しい衛生管理や関連法規についてもしっかり習得できます。
講義では紙にデザインを描く練習に加え、シリコン製の人工皮膚を使ったラインワークやシェーディング(陰影)の実習も行われます。
講師からプロの目でフィードバックを受けつつ、短期間で集中的にスキルアップできるのがスクール学習の強みです。
STEP3. スクール紹介のスタジオで彫り師デビューする
スクールの課程を修了したら、いよいよ彫り師としてデビューします。
多くのタトゥースクールでは卒業後の進路支援が充実しており、提携スタジオへの紹介やインターンシップの斡旋などを行っています。
スクール経由でスタジオに所属すれば、先輩彫り師のもとでさらに経験を積みながら、お客様に実際の施術を提供できます。
また、就職せずフリーランスの彫り師として活動を始める卒業生もいますが、その場合でもスクールで作った業界ネットワークが大いに役立つでしょう。
スクールで学んだことを土台に、プロの世界でさらに腕を磨いていきましょう!
独学で彫り師になる方法
タトゥースクールに通う余裕がなかったり、弟子入りの機会が得られなかったりする場合、独学で彫り師を目指すことも不可能ではありません。
ただしリスクや苦労も多いため、正しいステップを踏む必要があります。
ここでは独学でプロになるまでの基本的な流れを解説します。
STEP1. 画力とデザイン力を徹底的に鍛える
独学で彫り師を目指す第一歩は、何より絵・デザインを描く力を鍛えることです。
タトゥーは単なるイラストではなく、立体である人間の肌に刻むので、平面の紙に描いたデザインが肌に乗ったときどう見えるかまで考える必要があります。
中でも、タトゥーで人気の花や動物、レタリングなどのデザインは高頻度で彫ることが多いので集中的に練習しておくと良いでしょう。
和彫りや洋彫り、トライバルやレタリングなど、自分が得意にしたいジャンルを研究しながら練習することで、独学でもプロに通用するデザイン力を身につけられます。
STEP2. 彫り方の知識と道具の扱いを学ぶ
彫り師になるには、デザイン力と並んでタトゥーの施術に関する知識も自分で学ばなければなりません。
具体的には、タトゥーマシンの使い方、針やインクの種類、色素の入る皮膚の深さ、そして徹底すべき衛生管理など、多岐にわたります。
近年はインターネットや書籍で基本的な知識を得ることもできますし、YouTubeで海外の有名アーティストが機材の扱い方を解説している動画を見るのも勉強になります。
できればタトゥー用品専門店で初心者用の練習キットを購入し、説明書に従って組み立てや針のセッティングを試してみるのがおすすめです。
STEP3. フェイクスキンで実践的な練習を積み上げる
独学で技術を身につけるには、実践さながらの練習を積むことが欠かせません。
本物の肌でいきなり練習するわけにはいかないので、練習用のフェイクスキンを活用しましょう。
シリコンなどで作られたフェイクスキンは、ほぼ人肌に近い感触で針を通せるため、初心者の練習に最適です。
最初はラインをまっすぐ引く練習から始め、慣れてきたら自分で描いたデザインを人工皮膚に転写して彫る練習を行います。
ただし、フェイクスキンは実際の肌に彫る感覚と少しだけ違うため、ある程度上達したら、自分の太ももや足など目立たない箇所に彫って練習していくのもおすすめです。
彫り師(タトゥーアーティスト)に向いている人の特徴
彫り師を目指している場合は、自分に彫り師の適性があるのかどうかを知っておく必要があります。
ここでは、彫り師(タトゥーアーティスト)に向いている人の特徴を紹介していきます。
美容師など美容業を志した経験がある人
もともと美容師やメイクアップアーティストなど、美容系の仕事についていた人は彫り師の適性が高いです。
髪型やメイクで人の見た目を美しくデザインする美容の仕事と、肌にアートを描く彫り師の仕事は、共通して美的センスや手先の器用さ、お客様とのコミュニケーションが求められる点で似ています。
美容師としての経験がある人は、既にデザイン感覚や衛生管理の基礎知識、お客様対応のスキルが身についているため、タトゥーの世界でもそれを応用しやすいです。
他にも、藝大や美容師専門学校に通っている人も彫り師に向いているでしょう。
タトゥーを身体に入れている人
自分自身がタトゥーを入れている人も彫り師に向いています。
実際にタトゥーを入れた経験がある人は、タトゥーの魅力や施術時の痛み、アフターケアの大切さなどを肌で理解しています。
お客様の立場を経験している分、彫られる側の気持ちが分かるため、細やかな気配りや共感を持った対応ができます。
タトゥーを入れている人は、そのデザインを通じて他の彫り師の作品に触れているわけですから、自然とデザインの引き出しも増えているはずです。
また、お客様から見ても「自分も彫っている彫り師」の方が信頼感につながる場合が多いです。
継続的に技術を磨ける向上心がある人
彫り師という仕事は一度技術を身につければ終わりではなく、常に勉強と練習を続けていける人でないと第一線で活躍し続けることは難しい職業です。
そのため、地道な努力を厭わず継続的にスキルアップできる人は彫り師に向いています。
例えば、最新のトレンドであるワンポイントタトゥーやリアルなポートレートタトゥー、カラータトゥーなど、新しいスタイルが次々と登場するため、そうした技術を自主的に習得しようとする向上心が求められます。
また、一人で黙々とデザインを考えたり練習を積んだりする時間も長いため、コツコツ努力を続けられる忍耐強さも必要です。
どんなに上手い人でも最初から完璧に彫れるわけではなく、試行錯誤と改善の積み重ねで腕を上げています。
努力を楽しめる人こそ、彫り師という職業に向いていると言えるでしょう!
彫り師(タトゥーアーティスト)に関するよくある質問
最後に、彫り師を目指す人から寄せられることの多い疑問にQ&A形式でお答えします。
彫り師になれるのは何歳から?
特に明確な年齢制限はありません。
法律上、彫り師になるのに免許や成年年齢といった決まりはないため、極端に言えば何歳からでも目指すことができます。
未成年だと親の同意なしにタトゥーを入れること自体が各自治体の条例で禁止されているケースもあり、師匠やスクールも基本的に18歳以上でないと受け入れてもらえないです。
上限についても制限はなく、20代はもちろん30代以降から彫り師に転身する人も珍しくありません。
彫り師になるには資格がいる?
いいえ、彫り師になるための必須資格は存在しません。
2020年の司法判断以降、タトゥー施術は医療行為ではなくあくまでアートという位置づけになったため、医師免許などの国家資格は不要で誰でも名乗ることができます。
ですが、公的な資格こそないものの、民間団体による認定制度はいくつか存在します。
例えば日本ではJTAG(ジャパンタトゥーアートグループ)が彫り師に必要な知識・技術を測る「タトゥー基礎技術検定(3級〜1級)」を実施しており、取得すれば自分の技術力の証明になります。
ただ、資格が無いからといって彫り師になれないわけではありません。まずは絵を描く力と施術の技術を磨くことが最優先です。
副業で彫り師をすることはできる?
結論、副業として彫り師活動を始めることも可能です。
彫り師はサラリーマンなどに比べて時間に融通がきく仕事ではあるので、土日などに副業として少しずつ実績を積むこともできるでしょう。
ただし、他の副業と比べても時間と労力の確保が重要になります。
タトゥーの施術は、彫るだけではなくカウンセリングやデザイン準備まで含めると、一人あたり数時間〜半日かかることもあります。
また、副業とはいえお客様の体に一生残る作品を残す責任があるので、片手間の意識では務まりません。
まずは友人知人の紹介やSNS経由で少数の依頼を受けるところからスタートし、本業に支障が出ない範囲で取り組むのが現実的です。
【まとめ】彫り師(タトゥーアーティスト)のなり方
彫り師になるまでの道のりは一つではなく、タトゥースクールや弟子入り、独学など複数の選択肢があります。
どの方法を選んでも、一流の彫り師になるためには、デザイン力・衛生知識・コミュニケーション力など基礎的なスキル習得は欠かせませんし、生涯にわたって勉強と練習を続ける向上心が求められます。
しかしその先には、自分の芸術を形にして人に感動を与えられるという素晴らしいやりがいが待っています。
タトゥーへの偏見が薄れつつある今、彫り師はまさに新時代のアーティストとして脚光を浴びる存在となりつつあります。
彫り師になりたいと考えている皆さんは、ぜひこの記事を参考にしながら具体的な一歩を踏み出してみてください。










